日本のBBQ(和~べきゅー)歴史文化研究
日本のBBQ
BBQは俗にいう”横文字”のため、海外から流入した食文化、というイメージがあります。もちろん、言葉そのものは海外から流入したものではありますが、実は日本にも古よりBBQと同様の調理法は存在し、かつ継承されてきています。ただ、それをBBQと呼んで来なかっただけです。
また天武天皇時代から明治維新まで1200年もの長きに渡り続いた食肉禁止令によって、日本のBBQ、特に肉食は表には出てこなかったため、日本のBBQは影を潜めていました。加えてBBQが世界的に一気に伝播した大航海時代、日本は鎖国時代であり、また木造建築が密集した江戸や京では、火気の取り扱いが厳しく、レジャー的なBBQ文化が育つ環境にはなかったと考えられます。
それが明治維新以降の肉食解禁と、そして第二次世界大戦後のアメリカ文化の流入時以降、日本独自の直火焼き調理法と相まって、BBQとして認知されるようになってきました。
日本のBBQの研究及び伝承活動
日本の直火焼き料理を、日本独自のBBQ文化として捉えることで、日本の食文化の歴史や民俗性を改めて知ることができ、また世界の文化の関りも見ることができます。
BBQを海外からの輸入文化としてではなく、日本でも独自に発展してきた食文化として捉えることで、先人の知恵を継承し、進化させ、そして後世に継承することができます。
日本の伝統的直火焼き料理または調理法をわかりやすく表現するために”和~べきゅー”と名付けました。
研究対象範囲
基本的には昭和20年以前に日本国内で誕生した”直火焼き料理”と、その料理のまつわる歴史的背景を対象としています。
※昭和20年以前に設定している理由は、まだ農畜水産業が近代科学による影響が少なく、また第一次産業が地域の伝統的手法で営まれてきた時代であり、食文化が地域の文化や風土と直結していた時代であるためです。
また、全国規模の食品メーカーの発展やチェーンストアの出現、チェーンレストランの出現、流通や情報による地域経済や文化への影響が少なく、食文化の画一化が進行していない時代に制限しています。
活動コンセプト
和風のBBQファッションをまねること、すなわち七輪や囲炉裏で焼けば”和~べきゅー”ということではなく、日本各地に伝承する、または伝承されず途絶えてしまった”直火焼き料理”を研究し、検証し、伝承することとしています。
その土地の歴史を再確認し、その料理が誕生し、伝承されてきた背景を紐解くことをテーマとしています。
基本活動ルール
以下の3つを活動の基本条件とする。熱源は原則として”薪”または”炭”とし、直火焼き料理を対象とする。
①その土地の食文化の歴史やその風土を、その土地で学ぶこと。 → その土地の歴史・郷土資料館で学ぶ。
②その土地に赴き体験すること。 → その土地の直火焼き料理をその土地で味わう。
③自分でもその調理法を試してみること。 → その直火焼き料理を自身で再現する。
研究報告
現在は研究報告の場としてコラム”和~べきゅーの細道(旧タイトル:和ーべきゅー探訪)”(季刊誌フィールドライフ)に連載しております。
3、6、9、12月発行
※Amazon Kindleストアで無料購読できます。
また、BBQ professor SAKAKI のインスタグラムでも発信しています。
コラム一覧(フィールドライフ誌面)
北海道白老町編(2014年夏)
”アイヌ民族伝統のシンプルな料理法、「鮭の直火串焼き」”
秋田県大館市・鹿角市編(2014年秋)
”「きりたんぽ」は日本文化を代表するお米のBBQです!!”
福井県小浜市編(2014年冬)
”「浜焼き鯖」に見る先人の知恵と工夫。和ーべきゅー街道へ”
長野県大町市編(2015年春)
”囲炉裏が生み出す究極の遠赤外線「灰焼き」の奥義。”
岩手県軽米町・洋野市編(2015年夏)
”日本のBBQを支える木炭の郷、岩手県”南部”エリア”
北海道釧路市編(2015年秋)
”炭火と食材の仲人!「クスリ場所」の炭火焼和ーべきゅー”
京都府南丹市編(2015年冬)
”納豆発祥伝説の地、京都府南丹市で食す地産地消の和ーべきゅー”
千葉県野田市編(2016年春)
”濃口醤油で焼いてみれば和ーべきゅー開化の匂いする”
宮崎県宮崎市編(2016年夏)
”黒く焼け焦げた”モモ焼き”こそ和ーべきゅーの真髄”
北海道松前町・江差町・小樽市編(2016年秋)
”耳で味わう栄枯盛衰の和ーべきゅーを追って”
三重県志摩半島編(2016年冬)
”御食国の恵みを「海味」で味わう明朗快活な和ーべきゅー”
長野県諏訪市編(2017年春)
”これなくして和ーべきゅーは語れない!?”
栃木県宇都宮市・日光市編(2017年夏)
”ノープランではたどり着けない、底知れぬ”芋串”探訪”
北海道札幌市編(2017年秋)
”黒光りする鉄鍋は開拓者の精神”
石川県金沢市・七尾市編(2017年冬)
”石器時代から土器時代への変遷お舌で学べる味”
滋賀県湖東エリア(2018年春)
”苦味の記憶が導く水瓶の恵みと食文化”
長崎県長崎市編(2018年夏)
”大航海時代の勘違いから生まれた和ーべきゅー”
北海道札幌市編(2018年秋)
”歌人をも魅了する、都心に漂う魅惑の香り”
埼玉県草加市編(2018年冬)
”媚びず飾らず。質実で素朴な伝承の味”
岐阜県高山市編(2019年春)
”現代のツールを凌駕する古から伝わる究極の合理的調理法”
兵庫県神戸市・但馬地方(2019年夏)
”幕末から続く世界を魅了する王国の和ーべきゅー”
青森県むつ市・陸奥湾周辺(2019年秋)
”味噌と遭遇した縄文時代からのご馳走メニュー”
群馬県編(2019年冬)
”哲学に導かれ湯どころで出会った極うま粉もん”
北海道美唄市編(2020年春)
”雪どけに誘われ楽しむぶらり散歩的”昭”和-べきゅー”
秋田県男鹿半島(2020年夏)
”ナイスリカバリー!と思わず叫びたくなるような野趣あふれる郷土料理”
大阪府堺市編(2020年秋)
”日本の美意識を体感できる幽玄閑寂な炙りの味”
福島県会津若松市編(2020年冬)
”道徳心の根付く城下町に漂う香ばしい香り”
和歌山県高野山(2021年春)
”心震える1300年伝承の”対極”の料理”
神奈川県小田原市(2021年夏)
”太陽と潮風が旨味を引き出す風光明媚な”あじ””
京都府京都市(2021年秋)
”千年続く甘味を支える炙りの技術”
新潟県村上市(2021年冬)
”誤植と見紛う見識の無さに導かれた伝統の美味”
鹿児島県鹿児島市(2022年春)
”大改革を成し遂げた志士の故郷の甘味愛”
高知県高知市&黒潮町(2022年夏)
”郷土人の愛と熱と炎と宴の味”
島根県出雲地方(2022年秋)
”圧巻の神様サイズと野趣溢れる味”
奈良県橿原市&明日香村(2022年冬)
”1300年前の人々と時空を超えて共感できる味”
北海道・東北縄文遺跡群編(2023年春)
”縄文時代のBBQは意外にも現代料亭の味?「縄文串焼き&魚貝汁」”
北海道室蘭市・埼玉県東松山市(2023年夏)
”都市伝説のような軽い情報に誘われる熟練の味ふたつ「三大やきとり」(内、直火焼2つ)”
岩手県一関市~盛岡市編(2023年秋)
”ハレの日に拝み食べたい餅団子「お茶もち」”
新潟県長岡市編(2023年冬)
”謙信公と焚火を囲んだような気になる越後の味「けんさ焼き」”